コロニア

2016/09/27 シネ・リーブル梅田
6/10

ひと昔前だったら
「拾いもの」なんて言い方
されてたような作品ですよね(笑)
思いの外楽しめた みたいな

確かにそういう感じは
プンプン臭ってきます

70年代 チリでの軍事クーデターを
背景にしたストーリーなんて聞くと
なにやら小難しそうな先入観で
満たされちゃうんですが
全くそんなことない
エンタメに徹した作りである
という意外性がもたらす好感度が
「拾いもの」感をグングン上昇させる
わけですけど

やっぱ「拾いもの」だけあって
どうしてもアラが見え隠れしてしまう
わけなんです 悲しいかな

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にしてもこれ
関西でたった1館の上映ってのは
ちょっといただけないなぁ

大阪で じゃなくて 関西ですから

いろいろあるけど
とりあえずは面白いですから
観に行って損なんてないですから
よくできたサスペンス/スリラーですホント

という前提で
これから色々と言っちゃうわけだけど

どうしても
こういう題材でこういう運びで
作られた作品見せられるとですな

欲が出ちゃうんですよホンマスンマセン

こここうした方が良くねぇか とか
現場の苦労も知らずについつい考えちゃう
スピルバーグだったら・・・
いやいや何よりその前に
ヒッチコックだったら
ここもう少し粘ってただろうなぁ・・・
なんてね

悪いクセです

そんなことよりもですね

レナ(エマ・ワトソン)がとってもいいのよ
何よりあの顔立ちね
キャサリン・ロスにもっと強さを与え
ジュヌヴィエーヴ・ビュジョルドのDNAを
急遽注入されたかのような
疑いようのない70年代的表情

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その彼女を見事サポートする
これまた顔だけで説得力十二分な
ウルセル(ヴィッキー・クリープス)
施設の状況とそれがもたらす力と影響を
誰よりも理解しているのに
ギゼラ(リチェンダ・ケアリー)の娘であることで
静観するしか手立てがないという諦念が
全身から滲み出ております

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けど

ここからグヂグヂ
文句タラタラになるんで
お気をつけあそばせ奥さま方

ダニエル(ダニエル・ブリュール)だけが
連れて行かれちゃって
困ったレナが事情通の所へ相談しに行くんだけど
コロニア・ディグニダは健全な施設なんだ
という男の建前口上の後
ドアを閉める音を演出し
音楽を鳴らして盗聴に気を配りつつ
施設がいかに危険な場所であるかを
改めて話し始めるんだけど
細かい話でゴメンね
音楽鳴らしてますから はいいけど
あんなに2人でヒソヒソ話でもない音量で
ペチャクチャ駄べっちゃダメっしょ
あそこはやっぱ「大統領の陰謀」のように
筆談で事を進めなきゃ
まったく説得力に欠けるし
クソみたいな盗聴器だということになって
敵のマヌケさ加減も露呈してしまうからさ

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レナが施設に潜入してからは
より不穏ないい空気作れてて
概ね合格点に達してるとは思うんだけど

どうもねぇ
ギゼラの造形が物足りないのね
せっかくの映画化なんだから
もっともっと陰湿でネチっこくて
ヤラシいオバハンになんなかったのか
ってね
鞭打ったりするのって
逆効果だと思うのよ今どき
でも バケツに水汲んできて
「飲むな」って言うのはアリかも

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彼女が弱い分
シェーファー(ミカエル・ニクヴィスト)
頑張ってくれてんだけど
決定的に面白さを阻害してるのは
いかにも悪そうな顔したオッさんだ
ってことよね
ここはもっと意外性で攻めてくれなきゃ
実話ベースの弱みですわこれって
本物に似せなきゃっていう強迫観念が
マイナスに働いてるっていう

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少年愛という背景も
ありきたりでどうしようもないんだから
もうちょっとひと工夫欲しいよね
せっかく少年1人だけ前面に出かかってたのに
ウィーン少年合唱団入り損ねたみたいな子ね
あの子の使い方次第でどうにかなるのに
全く発展性のない出し入れで終わっちゃってるしさ
すごくもったいない

Singing boy (JASPER TIMM) with Paul Schäfer (MICHAEL NYQVIST) and Doro (JEANNE WERNER) in “Colonia”.

何より残念なのは
チリというせっかくの地形なのに
英語でなだらかに物語が進行してしまってる
抵抗感の欠如です
ここはもぉスペイン語との齟齬で
事態がどうも思うようにならない
っていう枷を作っていかなきゃ
昔のハリウッド映画じゃ
英語で統一なんて当たり前だったんだけどさ
あの頃はアジアだろうがアフリカだろうが
主要キャラはほとんど英語喋れる
って設定だったんだけど
ダニエルはチリで活動してるからいいとして
レナはもっと言葉で困らせて欲しかったなぁ と

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施設内での歓迎式典パレードの中
ついにレナがダニエルの姿をキャッチし
彼の方も彼女に気づくシーンね
実にいい塩梅なんだけど
ちょっとだけ贅沢言わせて
ここさ 我々はすでに
彼が知的障害者のフリをしてるってことを
見せられてるんだけど
少なくとも私としては
ここまでは本当に彼は
拷問によって脳をヤられてしまったって
こっちに思わせておいて欲しかったなぁと
思うわけです

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レナに気づいても脳が破壊されてるんで
彼女だと認識できないダニエル
レナはその彼の挙動を見た途端
酷い拷問によって記憶がかき消されたに違いないと嘆き
思わず泣き始めてしまうんだけど
ここでそんな風に泣いてると周囲から不審がられるんで
一生懸命冷静さを保とうとするわけ
でもそれでも涙がとめどもなく溢れてくる
そりゃそうですよ
何のためにこんな危険な所へ自らやって来たのか
彼が自分を認識してくれなきゃ
すべて無駄骨みたいなものですし
で 意を決して
おかしな挙動を繰り返すダニエルの真横まで近づくレナ
彼女はおそるおそる彼の顔を覗き見る
相変わらず脳がどうにかなってるとしか思えない表情で
シェーファーの演説を聞いてる彼
ダメだ 万事休すだ
そう彼女が諦めかけたその時
柔らかくて優しいなま暖かい感触が・・・
なんと 彼の左手がそぉっと遠慮がちに
でも確実な意識を持って
彼女の右手に触れているんですよ
「俺は大丈夫だから」という無言のパフォーマンス
瞬時にしてそれに気づいたレナは
もぉ我慢できなくなって大泣きし始めてしまうのだが
なんとか平常心を取り繕おうとする・・・

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なんていう流れの方が
ドラマチックじゃないですか?

たぶんですけど 今作の監督
こういうタメとかいうのに
あんまし興味ないんじゃないかと
全編を振り返って思うわけです

とにかく
何かに急かされてるかのような編集なんですね
どんどんどんどん話が進んでっちゃって
立ち止まってる暇ねぇよ って感じ

配給会社か何かから
110分以内にキッチリおさめろよ
なんてお達しが来てたんじゃないか
って思ってしまうほどに
焦ったようなせわしさです

でも 全然嫌いじゃないですよこういうの
むしろ大歓迎なんだけど
それによって失われるものも少なくないんだなぁと
ちょっと勉強になりました

 

ウルセルの使うジャガ剥きナイフを取りに
場を外してたギゼラのレナへの一言は
ドキッとさせられたよね
「さっきと同じジャガイモ持ってるね」
培われた経験により
相手のどこを見ておくべきかを学んだ者による
鋭利な指摘
ぐうの音も出ないとはこのこと

Lena (EMMA WATSON) with Colonia women in “Colonia”.

ただ この後
バケツ下に隠した写真がすぐ見つかっちゃうのね
さっさと次のくだりに進みましょう
みたいな せっかちさ
嫌いじゃないのよ
嫌いじゃないんだけど
写真1枚でけっこう遊べちゃうシーンだからさ
そんなに時間取らないとも思うし
もったいないなぁ と
ちょっと貧乏ゆすりしちゃいました

脱出決行に猶予が無いっていう理由が
ダニエルが実験台に指名されてしまったからだ
というのはとってもいい
有無を言わせぬ説得力です

鉄格子をなんなく突破
ここで時間掛けてる場合じゃないからね

けど その先は浸水してた
っていうのも定番ぽいけど
これはこれでいいと思う
「ニキータ」にも似たような状況あったよね
命令通りに脱出経路へ向かって小窓開けたら
なんとレンガで塞がれてた
みたいなシチュエーション

枷はいつでもキーポイント

なんとか3人水中に潜って施設外の地上へ

ここの森の具合がなんともいいのよねぇ
「大脱走」を思い出さない人はいないでしょう
でもウルセルちゃん ここまででした
仕掛けにヤられて遺言もなく即死
でもね
ここで仮に殺られなくても
いずれは・・・っていう空気
ビンビンに出してたよね彼女
薄幸の極みみたいな表情崩さないし
あまりこの後も長々と付き合われると
話がシンプルじゃなくなって
110分じゃ無理っぽくなるの目に見えてるし
どっちにしろ死ぬのは時間の問題でした
ということなのかな?

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いつの間にやら大使館へ逃げ込んだ後も
ビシバシ全力疾走

便がとれず
すぐには出国出来ないと分かるや
レナは機長に直接連絡
たまたま出発する便があるとのことで
空港まで私らを連れてけやぁー!
となるんだけど

ここももうちょいタメが欲しいのよなぁ〜

ちょっとこの大使館の空気
なんか変なニオイしない? みたいな
せめてダニエルとの視線劇は
もう少しあってしかるべきだと思うけど
どんどん進むからついて来いよお前ら的なノリ
嫌いじゃないのよ
嫌いじゃないんだけどぉー・・・

やっぱ作り手がそっちを選択してんだから
仕方ないんだよね
こっちが歩み寄らないと・・・

にしてもだ

あの後
別室でシェーファー側と連絡取り合ってる
秘書のくだりはいらないんじゃねぇのかなぁ
こいつらグルだってのは後々判明することだし
どちらともつかない曖昧な描写のまま
空港まで行った方が・・・

なんか虚しくなってきたわ

大使館から出る寸前で
持ち忘れた写真を取りに行くくだりもさ
なんなんだあのマヌケな演出は
なんら妨害のないまま
普通に写真取りに行って
普通にまた車まで戻ってくるレナ

いるかアレ??

とにかくこっちがオイオイってなってる間にも
映画の方はそんなツッコミなんぞに
構ってる暇などないらしく
どんどんどんどん進むのであります

何度も言うようですが
こういうの 嫌いじゃないんで 始末に悪い

大使館はやっぱり味方じゃなかった
って分かってからの展開も早い早い

もぉ行け行け突っ走って見えなくなれ!
って感じでしたよ私
腕を引っ張られて無理やり連れて行かれてる感
嫌いじゃないんで
ほぼ私も共犯みたいなもんですな

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ガラスの仕切りを隔てて
シェーファーが現れるとこもね
すぐそこにいるのに
何にも 出来ない っていうさ
究極とも言える苛立ちを表現できる場なのに
淡白なのねぇ
長いガラスの仕切りを隔てて
睨み合いながら並んで歩く姿が
徐々に並走へと変化してゆく
なんてことにはてんで興味ないんだろうね
スンマセンでしたなホンマ私が悪ぅございやしたわ
もぉーええわ死ねボケぇぇぇーーーー!!!!!!!

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・・・・・

いきてる?

・・・だいじょうぶやで

 

ということでね
この後2人は走りまくって
滑走寸前だった旅客機へ無事乗り込むも
管制室からフライト許可を取り消される
っていうね

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まぁどう考えても
このあたりは創作に違いないっていう
妙な軽さが伴ってきてて
フィクションに徹して
エンタメ性を前面に押し出すことは
決して間違っていないと思うし
その方が楽しいに決まってんだけどね

「アルゴ」が世にまだ出てないんなら
あれでよかったんだけど
なんの間違いか
アカデミー作品賞まで獲っちゃって
超有名な代物になっちゃってるのに
それをなぞった形になってるっていう退屈さね

ここは会議で突き詰めるべきでした

 

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いやぁ でも面白かったなぁー

って どの口が言うとんねんオッさん!

というツッコミ もっともでございやす

こんな楽しみ方もオススメですよ

ということで

今回はこの辺で

サヨナラ サヨナラ ・・・

・・・・・ 言えへんのかい!

 

20160929-130253

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