君の名は。

2016/09/06 MOVIX堺
5/10

大まかなプロット自体は悪くないと思うのね
「転校生」的入れかわりからの
テレポーテーションだけじゃ済まなかった
3年タイムスリップ

SF小説家志望者なら1度は考えてしまう
手垢のついたものだけど
見せられるこっちに不快感はない

ただ詰めが甘いもんだから
どんどんどんどん化けの皮が剥がれてって
身動き出来なくなっちゃう地点にまで
行っちゃってるのね

もう少し時間かけて
突き詰められなかったものか?

それとも そもそも
そういうことには興味がなくって
ただただ画の「正確さ」の方へ
傾いていったのか?

別にどっちでもいいんだけど
1つ間違うと
「台風のノルダ」になってたかもしれない
危険な状況ではあったよね

20160907-002521

詰めの甘さによって露呈してしまってる
破綻具合なんて
けっこうな数あげつらうこと出来ますけど
お互いそんな虚しい作業もないからね
映画の面白さって
そんな事柄を楽々と飛び越えてしまう
マルクス的な意味での「飛躍」
であったりするわけで
だから逆に言っちゃうと
おかしなことになってるそこいら辺の怪我が
完璧に近い形で治療されたとしても
それが「映画」になってないなら
存在意義なんてないわけですよ
少なくとも私にとっては

いややっぱり整合性が最も大事だ
なんていう意見にいちいち反論はしないけど
つまらない映画の見方してやがるなぁ
とは思ってしまいます

でも整合性はないよりあった方がいいんでしょ?

なんてバカな質問まだしてくるチンピラが
後を絶たないのね
こういう奴らには何をどう言っても一緒なんで

そうかもね

なんていう風にいつも流してますけど

640-21

今作のプロット構築に於ける態度として
正しくないように思えるのは
整合性を捨てきれる
ある種の「潔癖さ」が無いってこと
どっちつかずなのよ
さっき言った
ないよりあった方がいいかも的スタンス

だから目立っちゃうのね余計に

作り手側がこうなんだから
こっちとしては
どうしてやることもできない

20160617-kiminona05

これはもぉ
指摘されまくってることだけど
あんまりなんで
あえてまた言っちゃうね

(神木隆之介)
三葉(上白石萌音)と入れ替わって
しばらく経っても
3年のズレを認識出来ていないことや
隕石が村を襲ったなんていう
世界的大事件の現場名を
彼だけが高山ラーメン食べ終わるまで
これっぽっちも記憶に上ってこないなんていう
もはやご都合主義とも呼べない
単なるプロット上の空洞化現象

この洞穴から吹く風に気を取られて
映画が頭に入ってこなくなった
なんて言われても
言い返せないと思うよ

ていうか
彗星やらタイムスリップやら
こういうややこしい内容になってきたら
得てして
おかしなことになってる部分が出てくるものよ
作者ってこういう時
もっとエモーショナルな部分に
視線が行っちゃって
チェックが疎かになるんですよ
本当に魅せたいものの方へ集中しちゃうわけ

20160907-002016

だからここで言いたい

新海誠以外のスタッフは
一体どこに目をつけてたんだ? と

正直言って
こういう破綻具合って
監督(原作/脚本)のせいじゃないですよ
特にプロデューサー連中
彼らが目を光らせてあげなきゃダメ

全くチェック機能が
果たされていないという事態

これは日本映画に限ったことではない
由々しき大問題です

宣伝やタイアップやら
ビジネス方面にばっか
脳が向いちゃってる連中しか
周囲にいないっていう不幸ね

何度もやられてるはずの製作会議に
議題としてさえのぼらない破綻チェック
誰1人気づきもしていないという能無しの集まり

これじゃ監督さんがあまりにかわいそうです

同じことが
「バケモノの子」細田守にも
言えてたと思う

せっかくのあれだけの才能
生かすも殺すも
彼以外のスタッフ次第なんですよ 実は

今回の場合 酷似してるのは
脚本を1人で書いてしまってること

これは非常に危険です

細田守の足をすくった同じ罠が
ここでも活躍してしまってるんですね

しかも両作とも
空前の興行成績を叩き出しているという
身の毛がよだつ現実

先ほどの2カ所はあからさまな例であって
キリがないんでもう言いませんが
細かい箇所を突き出すと
枚挙にいとまがないわけです

20160907-002921

いやぁ でも
プロット上の破綻なんてのは
神経質な観客からすれば
気になるんでしょうけど
ここまで酷いのは久しぶりですが
先述のように
私自身は目を瞑ってあげていい範疇だと
やっぱり思ってるんですね

だって
監督が何をやりたかったのかは
明白ですから

1人マラソンしてて躓いて転倒しても
その部分はなかったことにして
再スタート切ったところから
またタイム計り直せばいいんじゃね?
ていう感覚です 私は

これからお話しすることに関しては
少々事情が違ってきます

「映画」として
見て見ぬ振りをしてはいけない部分に
関わってくるからです

先に言っときますが
私 新海誠の作品 初体験です
過去作 一切知りません

640-21

でですね

とにかくこの人 クドいです
何かにつけていちいちクドい
友達になりたくないタイプ上位
多分友達少ないでしょう
だから面倒くさい付き合いしないでいい分
時間があるから作業に没頭できて
綺麗で丁寧な作画が出来ちゃったりするのかな?
ごめんなさい
皮肉じゃなく本気でそう思ってます

20160907-002333

冒頭いきなりの彗星描写
うわぁースゲー画だなぁ〜って
アニメに疎い私でさえ
かなりワクワクするわけですよ
いったい今から
何見せてくれるんだろーっ てね

するとですね
RADWIMPSの曲に乗っかった
MVもどきみたいなのが始まるの

・・・ なにこれ? ・・・

だッサぁーーーーー

この映画 無理かもしんない

こう思った人 少なくないと思うけどなぁ

曲がダサいとかと言うより
あのPV世界観ね
こっちが気恥ずかしくなるレベル

なにを血迷ったらああなるん?

でもねでも
まだ始まったばっかだし
とりあえず見なかったことにしましたよ

リセットリセット

さぁーて 始めちゃってくださいな新海さんよ

20160907-002600

まぁでも しばらくは
取り立てて何かが起こるわけでもなく
順当に男女の中身が入れ替わり
胸を揉んで 鏡見て
股間の見た目ショットありぃの
昨日は変だったわよリアクションの後
見た目と中身のギャップに惚れ出す
単細胞が集まってきて2人は人気者

blah blah blahぁー

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決して悪くなんかない
それどころか
いいよこれ っていう描写けっこうあり

鏡の中の自分を見て
「複数」の感情に揺り動かされてしまい
泣いてしまう方法しか
思いつかないかのように
涙を垂らす三葉の表情なんて実に素晴らしいし

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一部では評判の良くない
襖やドアの開閉ショットなんて
ちょっとゾクッとしちゃいますけどね私は
そしてここでのクドさは必要だと思うんですよ
何度も何度も襖やドアが開けられ閉められ
その度に同一アングルが現れるあのリズムは
褒められていいと思うけどなぁ

20160907-002437

それと
「メメント」のパクリであろうが何であれ
腕や手やノートにマジックで書かれる文字列
お約束とは言えやはりいいのねぇ
あのキュートな切迫感
後々空間のみならず
3年の隔たりもあったのだと判明した瞬間に
この文字たちの意味が変容して行くっていうさ
これぞ「ファンタジー」ですよ

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ただこれとは真逆の
非映画的リズムを奏でてしまってたのが
2度ほど顔を出すMV的省略法
有無を言わせぬハイセンスか
思いっきりダサいカッティングで
わざと攻めてくるか
どっちかだったらまだ楽しめたんだろうけど
ちょうどこの2つの中間
つまり凡庸極まりないわけですわ
ほんと見てらんないこっちが顔真っ赤っか
音楽側に生真面目に合わせた編集という
もはやアカデミックとも言えない領域
どんなド素人でも動画編集できちゃう昨今
これを映画館で見せるのかお前わぁー
やめてケロー

完全に映画の流れが止まってしまってます

ここは最悪インストでしょ
ちがう?

まだ続くと見せかけて
ゴダール的にバッサリ途中切りしちゃうとかさ
なんかやりようなかったのかよ

ほんま何度も言うけど
だッサイわぁ

20160907-001925

プレビュー見せられてる
プロデューサーたちからの助言は?

ない ということはやはり
スタッフに恵まれてないんですよ監督
あんたがいくら野田洋次郎好きだって言っても
阻止する強い野郎が必要なんです

短いスパンでのビジネス思考しかないから
こういうことが許されてしまう
何度テレビ放映されても
視聴率の下がらないジブリ作品から
何も学んでいないわけです

何も自ら値打ちを下げるような構成を
しなくてもいいのでは?
なんて老婆心ながら思ってしまいます

こうなるとやはり
「バクマン。」での
サカナクションの仕事ぶりが
いかに優秀であったかが
自動的に思い起こされるわけですよ

この辺りの省略法を一旦放棄して
つまり “逃げずに”
2時間越えしてでも
ちゃんと原作に沿って丁寧に描写してたら
どんなに作品の印象が変わっただろうか?
と考えると本当に惜しいです

今作の107分というランニングタイム
これって 長い というんじゃなく
明らかな時間配分のミスなんですね
つまり
どうでもいいものを含んで
必要なものが欠けた 107分

20160907-002109

また繰り返すけど
細田守と同じ
実力は確かにあるんですよこの人

こんだけヒットしてんのに何なんだテメー
って言われかねないけど

要は
これこのまんま各国の映画祭持って行って
世界のマーケットで通用する代物か否か
って話です

私なら余裕でスルーしますね この程度のもの

でも 語り方をちょっと変えてやれば
ガラリと豹変する力を持ってる
だからもったいない
細田守も同じ

今のままだったら
コンパで彼の独りよがりの話で
たまたま盛り上がっただけみたいな状態です
メンバーを入れ替えるや
最悪の空気になる可能性大
だから それを制御できる
優秀な仲間(プロデューサー)が必須なんです
独りよがりにしか聞こえない話に才能を見出し
どう売り出せば最高の形になるかを
途端に脳内で描ける人ね

たぶん今はいないんだよ
作品見りゃ分かる

偏執狂的作画力を最大限に活かさなきゃ

誰が見たって表現力は凄いんだよ
だから逆に
予告編負けしてしまうという
皮肉なことにもなってしまう
本編見て
「こんな筈じゃなかった」連呼症候群ね

そりゃそうなるよな
画力あって そこそこの俳優が声出してて
そこそこのグループが音楽つけてくれて
ハッタリ的展開を匂わせてりゃ
編集次第でどうにでも転がせるじゃんか
PV的まとめお得意みたいだし
こっちはハードルダダ上がりだわ

20160907-002628

オタク好きするアニメによく見受けられる
物語より何より
フェチ度がまず上位にくる内容ゆえの
どうしようもないクドさ
この人にこれがないなんて言わせないよ
非常に危うい染み込み方してるよね
それも実に一般層を喜ばせる程度の安全さで

女子高生のソックス脚/足フェチが
けっこう遠慮がちに強めなんだけど
やっぱこの辺の映画的キモさね
倒錯性が当たり前すぎて
面白くも何ともないというか
そこらへんにウヨウヨいる凡庸なフェチ組と
レベルあんまし変わんない感じなんで
全く物足らないわけです

これは誰でもない
本人の力量の問題なんで
プロデューサーのせいにはできないね
力量というか 資質なんだけど

20160907-002838

ブレッソン
キチガイぶり=天才性 と比べりゃ
一番わかりやすいよね
彼が持つ倒錯性こそ
「映画」が最も必要としている
エネルギーの1つですよ
この変態性が
カッティングや音の配置に
モロに現れるっていう証明にもなってる
ってとこがスゴい

まったく種類が違うけど
宮崎駿の「闇」を伴った倒錯ぶりも
天才性の証でしょうね

20160907-001948

新海誠
ここまでのモノを求めるのは酷だけど
中途半端なフェチ度なら
いっそのこと全部切っちゃいなよ
って言いたくもなるわけさ
単にクドいだけならウザいだけだからさ
彼の持つ画力だって
テクノロジーの進化とともに
必要とされなくなるの時間の問題だし
もっと危機感持った方がいいと思うんですよ
自分自身をプロデュースできる余白がね
必要だよねきっと
誰もまともにやってくんないんだから

20160907-002135

いいところは原石のまま残して
ダメなところはつかみ合いの喧嘩になろうと
とことん話し合う
そんな宝物のようなパートナーだったら
発電所にダイナマイト仕掛けるまでに至る
克彦(成田凌)の感情の転換に
もう一つ決定的なトリガーが
必要じゃないだろうか なんて
助言してくれたりするんだろうか?

あそこさ
あれでいいんだったらそれはそれでいいけど
オカルト好きだっていうだけの平凡な高校生が
大爆発テロの主犯になるまでが
あまりにあっさりし過ぎてて
こいつ実は精神的にヤバめなんじゃねぇか
という冷静ささえ保ってるわけなのね
だからできれば
あそこまでに至るデカいキッカケ
みたいなものがあった方が
いいんじゃないかと ちょっと思ったわけ
例えば
すでに男女中身入れ替わりなんていう
荒唐無稽さで押してきてるわけなんだから
三葉の身体に もしくは 彼女の周辺に
見たこともない異変が生じるとか
その光景を目の当たりにした克彦は
彼女の言動に一切のブレも感じず
洗脳されたかのように発電所へ向かう
みたいな流れね
あってもよかったかな と

20160907-001702

でも 爆破後の畳み掛ける展開は
クドさが見事に消滅してるし
とってもよかったと思う
なにより理にかなってた
町内放送の出処を見破られたと悟った克彦の
「ここまでかぁ〜」もインパクト大
爆発の事実も知ってて周りは停電してるのに
高校生の呼びかけにはまともに反応せず
他人事みたいにノロノロ歩く人々の様子も
文句なんてつけようがない生々しさです

20160907-003015

そしてとうとうやってくる彗星軌道描写

ここは最高にアガリまくるシーンですね

なぜここまでテンションが増すのか?

あまりに“美しすぎる”からです

20160907-002358

この美しさの一部が
やがて大惨事を引き起こす
「張本人」になろうなどとは
糸守市で奮闘する三葉ら以外
誰1人として思っていない という事態の中
三葉の存在など皆無である都内の瀧も
大勢の中の1人としてそれを見上げるという
単なるWatching行為だからこその
まさにこれぞ映画的興奮を呼び起こす
見事という他ないシチュエーション
このシーンのために
3年というタイムスリップを導入した
と言われても納得の展開です

20160907-003114

これですよ

すべてを知っている我々観客が
事態の深刻さに一切気づいていない瀧と
このシーンにおいては
美しければ美しいほど
「映画」に近づくことを知った作者が
今作中最大最高の力を注ぎ込んで描いた
彗星軌道とが映り込む大画面に釘付けとなり
気がつくと 涙が溢れ出てしまっている
という醍醐味

猛烈なスピードで一気に広がる時空間

こんなダイナミズムを
構築できるアニメーターは
世界でも数少ないはずです

640-22

だから余計に
彼を囲むプロデューサー連中の出来の悪さが
腹立たしいのです

せめて彼に見合う共同脚本家を
彼が嫌な顔を見せてても
無理やり引っ張り連れてくる器量のある奴が
1人くらい居ないものか と

20160907-002945

残念でならないのは
多少のハッタリ感は否めないとはいえ
大風呂敷を広げるだけでなく
持ち前の画力を最大限に活かし切った
クライマックス終了後
あろうことか
自衛隊参加の避難訓練と重なったため
ほとんどの住人が
隕石落下被害から逃れて元気に生きていた
という まさかの並行宇宙捏造です

なぜにこのような
大安売りハッピーエンドを選び取ったのか?

ありえない反倫理的選択だと
かなり抵抗感のある締めくくりだと
どうしても感じてしまって
今もなお私 胸糞悪いんですが・・・

20160907-001726

あれだけ努力したから運命を変えられた
なんていう発想

現実と一切リンクしていない
絵空事なら何にも言いませんけど
これ
あからさまに
3.11 ですよね?

忘れたくない
忘れちゃいけない
みたいなこと散々のたまわって
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」
家族写真の人物が消えていくように
記憶から消える/消えない と
クドさハンパなく繰り返していたあの情景は
悪い冗談だったのか?

まったく理解不能です

私がプロデューサーの不在を嘆いていた
最大の理由は ここに於いてです

いいんですかねこんなことで?

ま あえて多くは語らないでおきます

感情を逆撫でする無自覚な行為の
判断さえつかない自堕落さ
物語に適当な厚みを加えるための
3.11は出汁に過ぎなかった
と揶揄されても言い返せない破廉恥さ

20160907-001744

 

最後に
ラストシーンに至る一連の流れ

都内での就活シーンなんですが
開いた口が未だ塞がっていなかった私にとって
あろうがなかろうが
もぉどうでもいいシーンになっておりまして
とにかくこのくだりの存在自体がクドいわけで
いったいいつまで引き延ばす気なのだ と
相当イラついてたのは事実です

少なくとも宮崎駿なら
このシーンに入った途端
エンドクレジットを出し始めるだろうなぁ と

クドいことにもイマイチ無自覚な今作が
そんな大胆なことする筈がありません

丁寧に これでもかと
階段のシーンをお膳立てします

正直 もぉウンザリです

しつこいだけで何も頭に入ってきません

予想通り
「君の名は?」なんていう三葉と瀧のセリフが
待ってましたとばかりに
タメにタメた挙句響くのですが
なんということでしょう
画面がチルトアップすると同時に
『君の名は。』というデカい文字が・・・

アホなんかこいつ

ここでテロップ出すんやったら
絶対その前の2人のセリフいらんやろが

640-22

最後の最後までクドくてダサい新海くん

途中何ヶ所かいいとこ魅せても
染み込んだセンスの悪さは
やっぱり隠せないでいる
靴と靴から上のファッションが
ここまでアンバランスなの
見たことない的なダサさを
可愛いと見るか
単にバカだと見限るか

それも もしかしたら
彼以外の周囲の問題なのかも
しれませんけどね

って ウルトラ過保護か?

 

20160907-003027

 

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