ブルックリン

2016/08/08 TOHOシネマズなんば
6/10

ようやく観れましたわ

この映画だけなーんか
スケジュール的にハマらなくって
飛ばし飛ばしで他の映画が
どんどん先になっちゃって
あーもぉDVDでいいかなぁー
なんて諦めかけてたら
1日1回だけレイトで
やってるっていうじゃないですか

もぉーかれこれ上映開始から
1ヶ月以上経ってんのに
ほんまかいな
ってなったんですけど

21時から1回だけやってたんですねぇ

最近じゃ珍しいよね
30日超えてもまだやってるって

て言っても
関西はここナンバだけ
しかも今日10日で終了だってさ
お盆休みまでの繋ぎ ってことですね

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けっこう評判は良いみたいだったんで
ちょいハードル上がってたんだけど

ま いい意味でもそうでなくとも
ほぼ想像通りだったかな
てな感じでした

このアイルランドの片田舎と
ニューヨークってのを
自分の経験に置き換えられる人って
かなりいると思うのね
東京や大阪からニューヨークやロスとか
あるいはヨーロッパ
海外に限らず国内でもそう
どこやらの地方から上京してきた人とか

今作の場合はもうちっと複雑だけどね
マンハッタンじゃなく
ブルックリンていうのがね
韓国の方々が大阪だったら
生野区がしっくりくるみたいな感じ・・・
・・・ちょい違うかぁ
違くもないなぁ ま いっか

ちなみに生野区って
ロート製薬の本社があるんだぜ
あの「クイズダービー」
オープニングのデカい建物
思っきし鳩が飛んでるアレ
あれ生野区ですよみなさん
鳩はCGじゃないガチだよ
・・・そっかぁ
CGである方が逆に凄いのかぁ
ま いいや
なんやかんやであんだけ撮る為に
半年費やしたらしいよ
ジャック・タチもビックリ

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・・・

なに話してたんだっけか??

・・・
そっか
自分の経験に置き換えるってことね
エイリシュ(シアーシャ・ローナン)
イタリア系の彼氏
トニー(エモリー・コーエン)
黒木華妻夫木聡
置き換えて観るって事ね
・・・違うって? 何が?

ま いっか

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あのトニーって男
ムッチャ雰囲気いいよねぇ〜
みんな大好きイケメンだし
喋り方がさ
ゆっくり言葉を選んでるっていうか
中身スッカラカンの引き出しから
一生懸命ガラクタ取り出して
あーでもないこうでもないって
取り繕ってる結果っていうか
ありゃ惚れるわ
ガチガチのキュート野郎じゃん

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でね
その「置き換える」ってことなんだけど

この映画の場合さ
少々置き換えるには
こっちから歩み寄ってあげなければ
っていう若干の弱さがあるのね
というのも
あれよあれよと言う間に
どんどん話が進んで行っちゃうのよ
なんかそこだけ取ったら
「黄金のアデーレ 名画の帰還 」
みたいなんだけど
それだったらそれでいいけど
船で行くっていう決定的な違いはあれど
頼る知人もいない海外で
1人っきりで1年以上
住んだことある人だったらまず起こるだろう
ってことを羅列してきて
訛りは酷いけど母国語も英語だし
結構いい寮住まいだし
段取りよくホームシックしてくれてるし
リアルっちゃあリアルなんだけど
もうちょっとなんていうか
誰かが横にいることで余計に響く
絶望的な孤独感であるとか
そういうのも見てみたいなぁ
なんていうの 贅沢なんすかね?

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新しく寮へ入ってきた
小生意気なチリ毛のお姉さんなんて
せっかくのあのキャラ あんな取り扱いは
ちょっともったいな過ぎですよ
ダンスクラブのシーン以降は
ほぼ出てこなくなるでしょ?
横に全く広がらないのねこの映画
広げる気がない
って言った方がいいかもしんない
エイリシュがずっと出ずっぱりっていうのが
それを物語ってます
この辺でも好き嫌い分かれるかも ね

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色彩設計もね
あざとい って言われても仕方ない
ほど露骨だし
「キャロル」の「赤」の使い方には
到底及ばないんだけど
それなりに「緑」という
アイリッシュが頑張ってるんで
あんまりそこ文句言っても粋じゃねぇな
なんて思ってみたり

だってさ 言いたかないけど
教科書的過ぎやしませんか? ってことよ

船出の「独り緑」に続く
キャロル的旅慣れ女の赤との対比に始まり
姉の死によって帰国した時の
緑の消失度もね
それでも尚 頑固に緑を羽織ってたのが
母と意地悪ババアだけだった というさ

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アイルランドから眺めたニューヨーク
あるいは
羨望の地から出身地へ向けられた
ある種批評的眼差しと
デッチ上げに近い理想によって
パラレルに置かれた故郷の姿
その辺のバランス配分と
ドラマ内でのエイリシュの感情との混載を
色彩によって現出してみようという試みは
決してつまらなくはないけど
情報過多だと退屈にもなりえますよ
ってことだと思う

色でなんやかんややる際の危険性
その典型例として逆にNYUとかで
講義テーマにされそうな感じもしましたが
どんなもんでっしゃろかいな と

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なんか文句ばっか言ってるんで
ちょっと空気変えますね

帰国して仲間と出かける
海岸シーンの入り方
あそこめっちゃテンション上がるよね
かつて姉が使ってたデスクで
臨時の簿記仕事を頼まれるエイリシュ
出来ればずっとここで働いてもらえないか
というお決まり愛想挨拶ではない
ガチの懇願に近い言葉をかけられ
かつて住んでた故郷とは
真逆の匂いに満たされて満更でもない彼女が
再び姉の墓へ訪れ
萎びかかった花を交換する手元アップから
見つめる顔の表情
そして立ち去りフレームアウトする
いっさい無駄のない編集の後
静かに出番を待ってた音楽が
ようやく指をさされると同時に
男女4人が海岸へ向かう後ろ姿が
ステディカムで追尾されてる画面提示によって
一気に時空を飛躍させる胸のすくような流れ
青空をバックに
4人が着る服のデザインや色が
くすんだ色彩であった
姉の仕事場との
見事な対照性を奏でてもいるシーンの連鎖
ほぼ完璧な画面設計と言って
いいんではないでしょうか

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欲を言えば
欲を言えばですよ

あの海岸
須磨みたいに人で溢れかえるコニーアイランド
との対比でもあるわけで
唐突にあのタイミングで出す効果は
それはそれで認めざるを得ないとは思うものの
なんかやっぱりもったいない
って感じちゃうんですよ
かつてエイリシュが姉と2人で来た場所であり
その時に将来のこととか色んな話をしたよなぁ
という場所として意味を持たせるのもアリかなと
というのも
姉との関係性の描写が
贔屓目に見ても薄いでしょ?
それもあるし それより何よりやっぱ
ああいう閑散とした海岸風景見せられると
「麦秋」での原節子三宅邦子のシーンが
どうしても思い出されてしまうんで・・・

・・・病気ですか私?

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いやあの時の原と三宅の関係って
血は繋がってないけど 姉妹ですからね
あれは鵠沼海岸でしたっけ?
だーれもいないこの世とは思えない砂浜
あそこで初めて本音に近い言葉を
問題となってる本人へ発する邦子さん
嫁いできた身なんで
ちょっと節子さんには遠慮があるんですね
それをわかってる節子さんとの
ちょっとした会話のやり取りから浮かび上がる
家族や男女関係のニオイ
そういうの ワンシーンでいいんですよ
ちゃんと2人の関係性を凝縮したものを
入れ込んでくれてたら
今作の印象
全く違ってたものになってたのになぁ
なんて ちょっと残念には思います

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あと
故郷へ帰ってからのエイリシュの行動が
不愉快で共感できない
なんて意見があるみたいですね

私は全く逆です

むしろああいう風に「ずるさ」を
隠すことなく入れ込んでくれてたことで
ますますもって「共感」しましたけどね

あの時 意地悪ババアが仕掛けてこなかったら
重婚してたんじゃねぇかあの姉ちゃん とか
友人やジム(ドーナル・グリーソン)はおろか
母親まで騙すなんて こと
色々と言われてるみたいですけど
こういうこと言う人って
主人公は清廉潔白じゃないとダメだ
っていう意味不明なルールに則って
毎回映画見てるんですかね?
私はむしろ
重婚する別バージョンも見てみたいですが

人って強くないんだよって
なんで思えないのか?

ていうか むしろこの映画
そこが核心部分なんじゃないの?

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もっと言うとですね

よぉく考えれば分かるんですが

あのお母さん エイリシュに
結婚する可能性のある彼氏がいること
知ってたんですよ
だって そのこと エイリシュは
姉に手紙で報告してるわけですよね
その姉が死んだんだから
お母さん 妹からのその手紙
読んでる可能性大じゃないですか
2人いた自分の娘が1人になり
その1人は 用が済んだらとっととまた
アメリカへ行ってしまう
出来ることならこっちにとどまって
結婚してもらって孫の顔も見てみたい
そう考えるのが普通ですよね
映画内での親子関係から察するに

友人の結婚式に出席する旨を
娘の了解なしに返事している奇妙な行動や
ジムとのデートにつながると察するや
「早く行け あとは私がやっとくから」と
やたらと急かす態度
などと考えていくと
手紙を読んでないワケがない
という確信にまで達するわけです

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と同時に
エイリシュの方も気付き始めるわけです
母はトニーの存在を知ってるのだと
姉への手紙を読んだに違いない と

でも そのことには触れない
エイリシュ自身 戻ろうかどうしようか
揺れ始めてるからですね
ここはかつてのようなどん底の地ではない
みんなが憧れの目で私を見
御曹司からも誘われている
姉のデスクで仕事を引き継いで欲しい
とも言われた
何より私のここでの幸せは
母の幸せにもなるのだ
またブルックリンへ戻る意味は
トニー以外何もなくなってきている
その唯一の理由トニー
それが唯一であるならば
戻って彼と結婚生活を営んだところで
幸せになんかなれるんだろうか?
幸せでなくなる母を独りここへ残して
私は幸せといえるだろうか?
・・・
なんていう葛藤が毎日毎時毎分毎秒
続いてたに違いありません

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重婚などという その当時なら
今以上に許されるはずのない土地で
重罪刑をも厭わない覚悟で
母の幸せを思うからこそ
トニーからの手紙の返事が
全く書けないでいるエイリシュ

嘘を嘘で塗り固める罪悪感が
ペンを走らせない挙動に
落ち着かせてしまう不幸

この辺りのどうしていいか判らない
微妙な表情が実に素晴らしいんですよ
決して笑顔になれない良心の呵責
トニーさえいなければ なんていう
責任転嫁も混じってたに違いない表情が
船から母と姉を見下ろしてた頃のものとは
完全に差別化されているという
奇跡的な変貌
もぉ黒木華の顔からは程遠くなった
シアーシャ・ローナンが
アカデミー主演女優賞に
ノミネートされたのは
順撮りであるはずのない環境で
この細やかな成長過程を
画面に焼き付けたからに他なりません

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娘だけではない
母も共犯であったということ

「お前さえよければ 何があっても
墓場まで持って行く覚悟だよ私は」
唯一の血縁者から受け取ったテレパシーによって
娘が覚悟を決めかけたその時
まるで神のお告げであるかのように
意地悪ババアが脅迫してくるのですね
「あんた 実は結婚してるんだろ?」
それに対してエイリシュはこう返します

「忘れてたぁ・・・
ここはこういう場所だったぁ」と

ここ 見事です!
非常にウィットに富んだセリフですよね
最初の「忘れてたぁ」
ここだけ聞くと
自分が結婚してることを忘れてたぁ
に最初聞こえてしまうというね
でも実は 次に続くセリフによって
初心を忘れてたぁ
という意味であったと修正されるわけです
「リップヴァンウィンクルの花嫁」
綾野剛に旦那の浮気相手写真見せられて
「あっちゃ〜」と
思わず口から出てしまう黒木華
と同じくらいおもろいシアーシャちゃんは
その後ついに
母に真実を告げてしまいます

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この時のお母さん
実は全て知ってたのよ的リアクションで
娘の言葉を聞き終えるんですね
「あぁあーー とうとう言っちゃたわこの娘」
みたいな感じ
まさか結婚してたことまでは
知らなかったでしょうが
ニューヨークへ戻ると言われた今となっては
どうでもいいことです
一気に 夢=理想 が崩壊したわけですから
完全なる孤独を獲得してしまった母
言葉が出てこないのは当たり前です
裏切られた と感じたのかもしれません
おそらく時間は
この問題を解決してはくれないでしょう
それでもエイリシュは
これが人の道なのだ と
多大なリスクに怯える幸せの方を
キッパリと諦めたのです

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故郷からの2度目の船出
赤を身にまとった旅慣れ女からの教えを
エイリシュは
かつての自分もそうだった田舎っぺ女に
優しく伝授してやります

そしてラスト 彼女は
コニーアイランドでの格好そのまんまで
仕事を終えたトニーを出迎えるのです

 

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