シン・ゴジラ

2016/07/30 布施ラインシネマ
8/10

あのぉーすみませんけど
エヴァがどうだこうだ言われても
私全くもって門外漢なんで
何言ってんのか
チンプンカンプンなんですけど

要するにアレなわけですね
予告編とかも
本編の戦闘シーンなんかも
音楽流用してなくても
とってもエヴァっぽく作られてて
ゴジラかエヴァか
どっちかはっきりせんかい
と怒ってらっしゃる方も
中にはいるんだと
そういうことなんですね
ハイわかりました

今作そのまんま エヴァかよ!?
とかおっしゃるのなら私 逆に
エヴァシリーズ
テレビも映画もひっくるめて
ぜーんぶ観たくなりましたけどね

それくらい強烈なインパクトありましたよ
この最新型ゴジラ

まさかここまでのクォリティーだったとは
夢にも思いませんでした

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劇場へ足運ぶたびに流れてた予告編
正直 ゲンナリしてました
なんかいまいちカット割りも何も
シャープさに欠けるちょっと痛めの感じ
おまけに主人公が長谷川博己
「進撃の巨人」
彼のファンになっちゃった私だけど
こんな線の細い役者さんで大丈夫なのか?
相手はゴジラだぜ って
もぉこれだけでかなり不安要素充填気味
あー また結構な金
ドブに捨てちまってるのかな と

監督名 樋口真嗣ってなってるし
こりゃダメかも ってなりませんでした?

総監督 庵野秀明ってなってても
その立ち位置が
いまいちハッキリしませんでしたよね?
・・・
・・・俺だけ?

ま いいけど

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エヴァは知らなくても
「ラブ&ポップ」の大ファンだからさ
それとこの際だからついでに言うと
「風立ちぬ」の堀越二郎の声
俺は全面支持だからね
涙止まんなくなったよあのセリフ回し

でね なんの話だっけ?
あぁ予告編ね

俺みたいにほぼ落胆状態だった奴
決して少なくなかったと思うのよ

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ギャレス・エドワーズ版「ゴジラ」
なんだか評判イマイチ
みたいなことも聞いてんだけど
私ゃ大好きなのさゴメンなぁー!
あのゴジラの何がイケないのさ
逆に聞きたいけどなぁ
あんな映画的瞬間の連鎖
滅多に見れるもんじゃないぜ
空母の下に潜り込む描写から始まって
押し寄せる津波に浸る街中の
ビル屋上から放たれる数発の信号弾
によって浮かび上がる
怪物の部分ショットに続き
停電の復旧によって
モノレールの進行方向へ姿を現わす
ムートーが空港へ飛び
飛行機下でそれを仰ぎ見る整備士の足元に
津波の前兆である海水が流れくると
やられた戦闘機が滑走路内で墜落炎上
飛び火して待機中の旅客機が次々と爆発
壁一面がガラスの吹き抜けロビーから
その様子をパンニングするカメラが
次に捉えたのが
世界最大級のとんでもない大木
いや ゴジラの左足だった という
この一連のほとんど奇蹟に近い流れ方

もぉこここ観れただけで
大大大満足でしたけどねぇ私は

やっぱダメっすかぁ そぉすかぁ

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「クローバーフィールド」
大して評判良くないのねぇ
ごめんクサい 私ゃだぁーい好きなのさ
地上からの手持ちブレブレカメラだけで
あれほどの恐怖感出せてるってことに
ブルブル震えながら驚きっぱなしでしたよ
で 最後の最後に
ヘリに乗り込むことによって
空撮ショットを獲得するっていうニクい演出
デザイン的にどうかなぁとも思うけど
モンスターの全貌が
そこに来てようやく明らかになる
っていうね

やっぱダメっすか そっすか

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で 今回のゴジラ

この2作とは
全く違うアプローチで来るんですね
そこがとってもフレッシュで
目が離せませんでした

まず
エヴァ見てなくても判っちゃうのは
庵野ワールドだ ってことですよね
こんなこと樋口に出来るわけない
ってことを連射してきます

脚本が本当にしっかり作られてて
素晴らしいんですよ
相当な労力かけて
取材したんじゃないでしょうかね
まったくもって嘘っぽさがない
これは今回の場合絶対条件なんですね
なぜなら
ゴジラを完全なる「象徴体」に
しなければならないからです
この抽象性を確固たるものにするためには
現実にないものは
ゴジラ以外あってはならないわけです
つまり物語的にも
いっさい破綻してはならない
という使命を帯びてるわけで
これを成功させることによって初めて
「ゴジラ(54)」への
真のオマージュになるわけですから
この辺のプレッシャー
かなりのものだったんじゃないか
そんな風に想像します

ご安心ください
大成功! です皆さん

「ゴジラ(14)」みたいなもの作られた後に
日本でまたやり直すなんて
ただの罰ゲームですよマジで
なのに相当な苦労があったにせよ
クリアしてしまってるこの凄み!
しかも亜流ではない全く新しい発想
3.11 に捧げるに足る完成度
によって生まれる絶大な説得力

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誰に観せても恥ずかしくない
世界へ発信すべき「ゴジラ」の誕生です

 

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映画が開始するや
すかさず物語が動き始めます
そう 何かに急き立てられてるように
あれよあれよという間に
閣僚会議が始まり
海中からデカい尻尾が立ち上がり
津波でボートが次々に押し流され
泳ぐだけだと高を括ってた巨大生物が
なんと陸へあがってくる
この大田区を動き回る怪獣
両目がチャームポイントだと言わんばかりの
ウルトラシリーズ全開ビジュアル
スンマセン申し訳ない
後ろから大日本人
やっつけに来るかと思えてしまって
思わず吹いてしまいました
でもまさかこれがゴジラそのものだとは
まったくもって 想定外 で
これとゴジラが戦うんだとばかり思ってました
だって目が全然違うんだもん
昭和ゴジラシリーズの見過ぎですね私

まさかまさかの変態開始です
這ってたのが二足歩行に早変わり

これにはちょっとビックリ
ただ「象徴」ということを踏まえると
納得のアイデアです

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ここまでも ここからも
本当にペースが早いんですよ
配分を考えないと途中で息切れしちゃうよ
みたいに突き進むんですね
で 観終わった後 考えたわけです
出演者ほとんどが早口でまくしたてるセリフ
これ実は 上映時間を120分台に収めるための
庵野流奇策だったんじゃなかろうか と

確かに閣僚 官僚連中が
ああいう喋り方であると取材した上で
的確に再現されているのかもしれないけど
この内容/ボリューム感で
124分に収められていることを考えると
やはり興行成績を考慮した
ランニングタイムにしないことには
製作費を回収しづらいと
東宝からお達しがあったのかもしれません
樋口はんやったら
また前後篇に分けてるんちゃいますかな
でも庵野はんのプライドは
それを許さなかった

上映時間を縮めるために
キャストに早口で喋らせる
これ すぐ思い浮かぶのだったら
「ソーシャル・ネットワーク」ですよね
もっと遡れば ホークス
スクリューボールコメディ演出時
演者にそうさせたって聞いたことあります
でもこうしたことによって
思わぬリズムが生まれ
そのとんでもなくファンキーなグルーブ感によって
「ヒズ・ガール・フライデー」なんて
世紀の傑作になったんですからね
あ なんか石原さとみの喋りに似てきてる・・・

今作にも同じことが言えると思います
物理的制約をクリアしたことによって
逆に映画的豊かさを獲得している と

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二足歩行になったからには
ウカウカしてらんない閣僚各位
ついに自衛隊へ攻撃命令

爺ちゃんが婆ちゃんをおんぶしてる!
「攻撃中止!!」

ここ上手いよねぇー
このリズムのズラし具合
さぁサビの部分来るぞぉー
って思わせつつのリターン
庵野の手のひらで踊らされてる感
ちょっと濡れましたぜ


ゴジラの構え具合ね
相手の出方をじぃーっと待ってるあの佇まい
能や狂言の呼吸ですよありゃ
世界レベルのダンサーが
一旦フリーズしてる高尚さ
本物の怪獣バカにしか表現できない
ここぞというポイントプッシュ

いかに動くかではない どう止まるかだ

日本のゴジラを見やがれ! と
ギャレス版とは真逆のアプローチで挑む
ハッタリなしの意地

涙が止まらなくなったのは
私だけなんでしょうか?
野村萬斎 天晴れです

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とにかく引きの画が素晴らしいんですよ
自分の住んでる所にゴジラが現れて
高台やマンションのベランダから見たら
きっとこんな感じなんだろうなぁ
というまさに「リアル」です
そしてその引きの画が作り出す
被写体を端に捉える手法も実にユニーク
一瞬どこにゴジラがいるのか
大画面でも判別しにくい状況を
あえて作ってるわけです
かと思うと
長谷川くんとさとみちゃんが
歩く移動シーンでは
2人を画面右端に置いたまま
カメラをクレーンアップするという
仮にゴジラと同列にしてみると・・・
という実験まで行われています

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相模湾から鎌倉へ再上陸する際の
第四形態の描写がないことを
嘆いてはいけません
悔しいのは我々観客以上に
庵野組であるはずです
バッサリとカットしてでも
あのクォリティーが維持できていることを
むしろ喜ぶべきです

真昼間に真っ向勝負してたゴジラ
いよいよ夜間の部です

今度こそ本当に攻撃開始する自衛隊
民間人のウヨウヨいる国内で
これほどまでに大掛かりな攻撃態勢に入るなどと
いったい誰が予想したでしょう
前回の攻撃中止のくだりは
そのことをリアルに体感させるための
映画的仕掛けでもあるわけですね

ものすごい数のミサイル攻撃を受けるゴジラ
自衛隊の戦力だけでは歯が立たなかったものの
米軍の参加によって
かなりのダメージを与えることに成功

これによって怒り狂ったゴジラちゃん
放射能光線放射しまくりで目黒区てんやわんや
こんなのに勝てるわけない
日本もアメリカも余裕で撤退
ついでに
官邸からヘリで逃げるとこだった首相もお陀仏

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この設定も見事!
首相を殺してしまうんですよ
そして 農林水産大臣で
老害にしか見えないジジイ(平泉成)
首相臨時代理にするんですね
今この緊急時に誰もやりたがらないことを
押し付けられてるだけ感で
何にも分からないまま
仕事できてしまってる空気のニオイが
実に素晴らしいんですが
この原因となった放射能光線出し過ぎのせいで
ゴジラの動きをいったん東京駅で止めてしまう
というアイデアも極上
実にグッドタイミングな
インターバル(幕間)になってるわけですこれが
これマジさとみちゃんの喋りうつってきたぞ
ヤベーぞほんまマジどっしょー

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カップ麺やおにぎりといったファストフードで
風呂にも入らず耐え抜く矢口チームと
彼らの散らかしたゴミを
こんな時でも掃除する人がちゃんといる
ってのインサートできるのは
この幕間のおかげですね

ここもそうですし
これより前にある帰宅困難者たちの描写も
短時間ですが非常に的確です
最も恐ろしい事態の一つ 停電
ギューギューに詰め込まれた
地下鉄の列車内 及び 駅構内での
突然の暗闇
戻れば地上では怪獣が暴れてる
震災による経験者なら尚のこと
身震いせざるを得ない瞬間

先述の矢口チームの描写とともに
ジャブとしてじわじわ効いてくることにより
映画に広がりを与えています

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この同じ脚本で
ここはあえて岡本喜八じゃなく
原田眞人の演出も見てみたいなぁ
という願望もありますね
ゴジラパートは樋口はんに任せて
会議や矢口チームのくだりを
「クライマーズ・ハイ」みたいに撮ったら
また違った魅力が出るんじゃなかろうかと
そんな気もします
とにかくまず人物がもっと動き始めて
カット割りも自由自在のメチャクチャ感が
心地よくなるレベルにまで達し
庵野版よりさらに
観客を置いてきぼりにしてくるでしょう
樋口はん監修のゴジラパートとのあまりの乖離に
開いた口が塞がらない事態になる可能性大
「ロボコップ(87)」が覚醒した時みたいだった
ノートPC目線カットなんて
まずやんないだろうし
あえてやってまっせぇー的
シネスコ人物どアップなんか
まずあり得ないし
でもそれはそれで面白いはずです
ただし そういう力点の置き方すると
120分台じゃ収まらんわなぁ

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新幹線 在来線アタック
及び ビル倒壊によるダメ押し
どれもいいんじゃないでしょうか
血液凝固剤を口から入れるんなら
寝かせて大人しくさせなきゃダメですから

モスラコングウルトラマン
いないんです

ビルが傾いてる途中で
流れるオフィス内の様子を
映してくれてるのがとても良かった
仕事場がこんなにも脆く崩れ去る光景
外からだけでは捉えられない感情
ああいうビルのオフィスで働いてる人だったら
ちょっと ウッ! て
なったんじゃないでしょうか?

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お約束のバカ丸出し拍手がないのも
とってもとっても嬉しいでーす!
ある意味 ちょい病的な描写ですけど・・・
なんか「アベンジャーズ」
エンドクレジット後の
ぐったりしたメンバーたちの様子
に通じる脱力感だったね

世界よ これが日本人だ!

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堂々とした立ち姿のまま
ゴジラを晒しておくってのも大正解!

死してさらに「象徴」

そして ここで改めて思うわけです

不安以外感じなかった予告編で
さらに頭を抱えさせてくれてた
長谷川博己の線の細さ

これは必要不可欠だったのだ と

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その細さとは
庵野秀明の内面であり
「日本」だったのではないか

勝てるはずのない相手に対して一切ひるまず
相手が放った世界最速ストレートを
サヨナラ弾として打ち返したのです

 

20160731-071825

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